税務会計・経理事務科の皆さまへ
梅雨の雨に木々の緑がいっそう深まり、まもなく訪れる夏の気配が感じられる頃となりました。本日、半年間の職業訓練を修了される皆さん、誠におめでとうございます。
半年前、はじめてこの教室の扉を開けたときのことを思い出してみてください。聞き慣れない言葉、見たことのないソフト、はじめて触れる考え方の数々を前に、戸惑いを覚えた方も少なくなかったはずです。それでも皆さんは、朝の時間を惜しまず机に向かい、わからないことを一つひとつ自分のものにしてこられました。簿記の数字と向き合い、クラウドのソフトを操り、生成AIと対話を重ねたその一日一日が、今では確かな皆さんの力となっています。
けれども、私が皆さんに本当に手にしてほしかったのは、操作の手順や試験の答えそのものではありません。あふれる情報を集め、整理し、比べ、組み立て直しながら、自分の頭で考える――その力こそが、これからの時代をしなやかに生き抜くための土台になると、私は信じています。
いま、AIはかつてないほど身近な道具になりました。多くの仕事のかたちが変わり、これからも変わり続けていくでしょう。それでも、何を問い、返ってきた答えをどう確かめ、どう活かすのかを決めるのは、最後はいつも人間である皆さん自身です。道具を恐れることなく、けれど道具に頼りきることもなく、自分の考えを真ん中に置いて学び続けてください。学び続ける力こそ、本日皆さんが持ち帰る、何よりのはなむけです。
そして皆さんは、当校にとって最後の修了生です。この地で長きにわたり、たくさんの仲間が学び、それぞれの道へと巣立っていきました。本日をもって学校はその役目を終えますが、ここで育まれた学びと志は、皆さん一人ひとりの中で確かに生き続けます。皆さんは「終わり」を見送る世代ではありません。それぞれの場所で新しい一歩を踏み出していく、その出発点に立っているのです。
これから先、思うようにいかない日もあるでしょう。そんなときは、この半年間に積み重ねてきた小さな「できた」を、どうか思い出してください。その一つひとつが、皆さんが自分の力で前へ進んだ、確かな証なのですから。
皆さんのこれからの道のりが、健やかで、実り多いものとなりますよう、心から願っています。 ご修了、誠におめでとうございます。
令和8年6月30日
長崎キャリアアップスクール株式会社 代表取締役 前田 雄二郎